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今のはなし

 投稿者:ばん まい  投稿日:2009年 8月29日(土)06時42分24秒
  通報 編集済
  これをこのように書こうと思い立つ直前まで、学問とか智の蓄積、はたまた最近
でいうイノベーションなどという行為は、「知る」ために為されればよく、その
ような単純な目的のためには、古にはそうされていたように金持ちの趣味好みが
その行為を支えてくれたらよいと考え続け、それが実現することを願ってすらいた。
ところが先日、社内事情を少々知っている優雅な会社とそのライバル社の商品展開
を比較する機会を得たら、どうしても質実剛健に見えてしまうライバル社が優れて
いると(前からちらほらそう感じてはいたのだが)判断せざるを得ず、そこから、
金持ちの趣味好みが智の進展・展開を支えるという優雅な方式は「今」のものでは
ない、と吹っ切れた。

==========

「当地初、現代科学の最先端と粋とを注ぎ込んだ、非常に画期的な製品」が優雅社
によって発売された。 なるほど現代科学の最先端と粋を製品開発に使った様子では
あった。 だが、その新製品には画期的でこそあれ新規同定の成分は入っていなかった。
品物の売り方としては新手といえるか・・・という感想が頭に形成され始めた時、
この優雅社のライバル剛健社が何ヶ月か前に同じ売り方をする「当世初、現代科学
の最先端と粋を注ぎ込んだ、非常に画期的な製品」を売り出していたことが知れた。
剛健社の製品には、これまでに剛健社が開発し続けてきた有効成分が、自己申告に
よると「更に効果的な組み合わせ」を見出された後に、その組み合わせの通りに
入れられているという。

剛健社の、今や「十八番」となったその有効成分は、ここ十年ほどの間、同社の品
に広く使われている。何を隠そう、愛用している。ただし、これまでに何度も、
優雅社を含むライバル製品も使ってみる期間を経た上の愛用である。優雅社では
売り上げが落ちたと言っているその製品群を置くスーパーの棚の隣には、世界中
で最も消費された由自慢する小さな販売促進シールを得た剛健社製品が並んでいた。
実際に剛健社の品は悪くないのだもの、と、その自慢シールには納得させられた。

今に至るまでの20年くらいの間、優雅社も剛健社も、経済危機などというものに
脅かされることなく新製品のための研究と開発に湯水の如き資金を投入できていた
はずである。そのカネをいかに使ったかは、今発売される商品においてうかがい知る
ことができる。様々な製品に対して使える有効成分を開発し、今、その有効成分に
勢いよく稼いで貰っている剛健社は、カネをうまく使った、としか思えない。優雅社
の新製品に入っている有効成分は、同じように幅広い製品に使えるかも知れないが、
優雅社の開発成分とは言えない。

優雅社の仕事振りは、実に優雅である。優雅社のようにカネを使ってみせることが
必要な時代もあったことは理解できるにせよ、この優雅さが、それしか寄って立つ
ところのない、カネも権力も失った元貴族の強がりという風に見える。優雅という点
で現職場にも同じ雰囲気が漂っており、優雅を保つことにエネルギーを使うことは
もう止めて、力強い「今の」優雅を持つ組織への変化を頭に描いている。 勿論、
現職場が今から100年程度の後にも、職員以外のひとに存在を歓迎されるものである
ために、この変化が必要であると思っているからだ。

剛健社の牽引力になっている人物に、ぜひ、会ってみたい。剛健社に危機はあった
のか、どのあたり先を見ているのか、例の「十八番」物質の開発の歴史は・・・・?

古と同じように育てた智は、古では価値在るものと見えても、今ではそう上手く価値
を着ることができない。 今にあって、智は、今の育て方で育て、今着せられる価値
を身に着けてゆく。 古でいう価値と今でいう価値に表現のしかたでの差異は出ると
思われるが、古の価値も今の価値も、ヒトに結びつくものである以上、どちらもそう
気分の悪いものにはならないはずである。 今は今のやりかたで、行ってみよう。
 
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